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This is the archive for December 2005

自分の謎

自分の謎 こどもの哲学 大人の絵本 赤瀬川原平
最近はどうも使い回しの本が多かったような気がする赤瀬川原平だけど、これは書き下ろし。
大人の絵本シリーズ第二巻。内容は、まぁ、自分とはなんぞやという話について、いつものパターンでいろんな疑問とか、著者の考えをシンプルな言い回しで述べた物。
それなりに面白かったけど、あっという間に読み終わってしまった。昼休みに読む本がなかったのでこれを買って、飯食いながら読んでたら食べ終わる頃には読み終わってしまった。税込み1260円。コストパフォーマンス悪すぎ…
第一巻のふしぎなお金は買ってない。
以下、「四角形の歴史」、「ゴミと芸術」と続くらしい。

奇偶

奇偶
「たまたま」いつもと違う電車に乗ったら、事故にあった。「たまたま」出会った人と、「たまたま」再会した。「ありえないような」偶然に偶然が重なって、事故が起きる。あるいは命が助かる。そんな話が時折話題になる。奇妙な偶然の一致、シンクロニシティー。だれもがそんなことを経験していると思う。「奇遇」という言葉もあるくらいだし。
「偶然」とは一体何なのか? 「たまたま」ってなんだ? 昔から気になっていたが、偶然についてのもやもやはすっきりしないままだった。本書を読んで、多少、もやもやが解消された気がする。
本書は小説の体裁をとってはいるが、「偶然」について、易経、心理学、哲学、民俗学、宗教、量子論など、様々な学問分野から、とことん思索を巡らせた「偶然学」の思想書と言っても良いくらいだと思う。
奇妙な偶然の連鎖に絡みとられていく推理作家。そして起こる密室殺人。それは易による見立て殺人なのか。
というと、普通のミステリーっぽいが、実際の所これはSFに近いと思う。密室の謎も、まさかそんなネタじゃないよな、と思っていたとおりのネタだったし。ラストで論理的に全ての謎が解決されてすっきり、というのを期待している人は怒るんじゃないかと思う。テイストとしてはグレッグ・イーガンと神林長平を足して2で割った感じ。量子論の「多世界解釈」や「人間原理」も出てくる。あんまり言うとネタバレ的になってしまうが…
小説としては「奇書」と言われてしまうのもやむなしという感じだけど、非常に刺激的で面白かった。